itten誕生のキッカケ
itten誕生のキッカケ
代表の石渡です。
itten誕生は2020年にさかのぼります。
世の中でおうち時間が増え、
私も頻繁にあった会食が
めっきりとなくなりました。
「外にでれない分、
家での食事を楽しみたい」
という想いから、
自宅の食器やカトラリーを
一新することにしました。
その時に奮発してたまたま購入した
“ちょっと良いお箸” が、
のちのitten誕生の
キッカケになりました。
そのお箸を使った時のことは
今でも覚えています。
正直、驚きました。
「え、箸が違うだけで
こんなに違うの…?」
握った時のフィット感、
木の質感、箸先の細さ。
今までのお箸と
全く比べ物にならない…
まるでお箸が
“自分の手の一部”
になったかのような感覚でした。
そして「ずっと握っていたい」と
思える心地良い木の
しっとりとした質感。
この日からというものの、
決して大げさな表現ではなく、
そのお箸を “使えること” 自体が
楽しみになったんです。
その時に私自身、
大きな気づきを頂きました。
箸は毎日使っているにもかかわらず、
お箸へのこだわりを
全然持てていなかったなと。
良いお箸を使うことで
こんなにも変わるんだと、
お箸への価値観が
大きく変わったんです。
そんなキッカケから
私自身がお箸に興味を持ち、
色々とお箸について
調べる日々が続きました。
そこで初めて知ったのが
「お箸の適切な長さ」。
一般的に売られている
市販のお箸の長さは、
男性用:23.0cm
女性用:21.0cm
が一般的です。
ですが、この長さ、
実は江戸時代に決められた長さ
だということを皆さん知っていますか?
江戸時代の平均身長が、
男性:155㎝
女性:143㎝
対して、現代人の平均身長は
男性:171㎝
女性:158㎝
なんと現代の人の平均身長は
江戸時代よりも「15㎝」程も
高くなっていました。
身長が「15㎝」も違ければ、
もちろん手の大きさも変わってきます。
それにも関わらず、
お箸の長さは江戸時代から
変わっていないという
衝撃の事実を知ったんです。
日本人が古き良き時代から
使ってきたお箸。
逆を言えば、
昔から進化していなかった
と言えるんです。
そこで私は
「大きな使命感」を
持つようになりました。
「お箸の文化を進化させたい。」
「お箸が変われば
食事の時間がもっと豊かになる。」
そんな使命感から
「世界で一番使いやすいお箸」
を作り、
みんなに使ってもらいたい
という想いが強くなっていきました。
その日からというものの、
世の中に流通する “良いお箸”
と言われるものを
100膳以上買い集め、
「使いやすいお箸の定義」を
徹底的に言語化していきました。
お箸が一定の太さ以上に
なってしまうと
握りづらく小回りが利かなくなり、
お箸の形状も
『丸』だと掴みどころがなく、
『四角』だとゴツゴツ手にぶつかり、
違和感がでてくる。
お箸の質感も漆を塗ることで、
強度はあげることは出来るが、
木材のしっとりとした質感が失われ、
ツルツルとした
プラスチックのような
質感になってしまう。
様々なお箸を実際に使った上で、
辿り着いた使いやすいお箸の定義は
『長さ』『細さ』『形状』『質感』
という4つの条件から
導き出されることがわかりました。
お箸の形状も
一番手にフィットするのは
「四角」や「丸型」ではなく、
「三角」のお箸であることも
わかりました。
ただ、私が最後の最後まで
壁にぶつかっていたのが
『長さ』でした。
『長さ』に関しては
人それぞれ手の大きさが違うため、
人によって
最適なお箸の長さが変わります。
とはいえお箸をつくる際に、
対面で手のサイズを計測して
1膳1膳作っていくのは
現実的ではありません。
そこで考えたのが
「手の計測システム」です。
スマホで手の写真を撮り、
手のサイズにあった
お箸の長さを
自動的に算出できる仕組みを
作ることができれば、
日本全国だけではなく、
世界中の人の手にあったお箸を
作れると思ったんです。
システム会社さんにご協力頂き、
何度も試行錯誤を重ねて
完成したシステム。
「これでようやく
お箸の文化を変えられぞ!」
そんな期待が
膨らんでいたのも束の間、
次の大きな問題にぶつかりました。
それはお箸を作ってくれる職人さんが
全くいらっしゃらなかったのです。
数多くの職人さんに
私たちの想いや、
実現したい世界を伝えると
共感はしてくれるものの、
返ってくるのは毎回同じ言葉。
「注文が来てから
1膳1膳お箸を作るのは
工数がかかるから出来ないよ。」
普段、お箸だけでなく、
様々なものを作っている職人さん。
イレギュラーで注文が来て、
毎回つくるお箸のサイズも異なる。
「手間ばっかりかかるから難しいね」
皆さん同じ理由で
ことごとく断られ続けたのです。
そこで私達はひとつの決断をしました。
職人さんが作ってくれないなら、
自分達で作るしかない。
腕の良い職人さんに
何度もお願いをして、
半年近い期間、
職人さんの工房に通い、
お箸のつくりかたを学び続けました。
教えてもらった技術をもとに、
私達が作りたい
「理想のお箸」を目指して
何度も何度も試作品を
作り続ける毎日。
ようやく「これだ!」という
世界で一番使いやすいお箸が
完成したんです。
私自身も手応えがありましたし、
社員の子達も大満足のお箸が
完成しました。
実際にその日にお箸を家に持ち帰り、
妻にも使ってもらったんです。
普段、雑貨を販売する会社で働く妻。
お箸やお皿には
人一倍意識が高く、
そう簡単に商品を認めることは
仕事柄なかなかありません。
そんな妻にお箸を作ってもらい、
率直に妻の意見ももらおうと
その日は妻にも使ってもらったんです。
妻がお箸を使っておかずを口に運ぶ。
私は固唾を飲みながら見守ります。
「あ、すごい使いやすい。」
そのひと言に私の肩の力が
スッと抜けました。
「三角形状のお箸って
今まで使ったことないけど、
確かに手にフィットするし、
木の質感も心地よくて、すごく良いね。」
ようやく全ての準備が整いました。
お箸の自社工場もつくり、
製造の準備もしっかり整えました。
最初はクラウドファンディングでの
販売でした。
準備に時間をかけた分、
どれだけの注文が来るのか
ドキドキでしたが、
結果としてはわずか1日で
目標金額に到達。
大変大きな反響を得ることが出来ました。
その日以来、メディアにも注目頂き、
取材が増え、地上波のTV番組や、
国営チャンネルでも
次々と取り上げて頂き、
注文をどんどん
頂けるようになりました。
嬉しい悲鳴ではありましたが、
この時、次の問題にぶつかっていました。
私達はもともと
お箸づくりのプロではないため、
時間をかければ
良いお箸をつくることは
出来ますが、
1膳1膳のお箸をつくるのに
あまりにも時間が
かかってしまっていたんです。
このままでは
注文頂いているお客様に
だいぶお待ち頂いてしまうことになる…。
そこからまた
職人探しの毎日が始まります。
日本全国の職人さんに
何とかお手伝いできないかと
相談をしてみるものの、
依然と同じで
首を縦に振って頂ける職人さんが
一向に
現れませんでした。
それもそのはずです。
1膳1膳パーソナライズしながら
お箸を作るという
販売の仕方は
製造の常識から逸脱していました。
そんな中、東京の神楽坂で
「一級製作技能士」という資格を有し、
15年以上オーダーメイド専門で
つくる職人と出会いました。
私たちのお話を
親身になって聞いてくださり、
何度も想いを伝えた結果、
その熱意を買って頂き、
『うまくいくかはわからないが
やってみようか』
と話を受けてくれたのです。
とはいえ、
何度も試作品を作って頂いては
私たちが納得のいくお箸に
仕上がりません。
何度も何度も試作品を重ね、
私達が描いている
理想のお箸との差分を埋めるための
小さな細かいPDCAの繰り返し。
そして最終的に
『これだ!』という
お箸が出来上がったときの感動は、
今でも忘れません。
私達が自分達で作っていたお箸よりも
さらに高いクオリティで、
これまでの常識を覆す極上のお箸。
「これで箸の文化を変えることが出来る。」
『最新テクノロジー技術』と
『日本の伝統』を融合させ、
1人1人の手のサイズにあった
一点もののお箸をつくる
パーソナライズ箸、
その名も 「itten(イッテン)」。
ぜひあなたにも
使ってもらいたい。
ギフトとしても大変喜ばれます。
「itten」で皆さんの食事の時間が
より豊かなものになりますように。
株式会社みらいきれい
代表取締役 石渡 祐児